あたしを撫でる、君の手が好き。
あたしの反応を窺うようにじっと見てくるあっくんの顔は、どことなく不機嫌だ。
きっと、あたしがそういうことをするのは似合わないと思っているんだろう。
「あたしは横断幕制作にしようかなって思ってたんだよ。だけど、富谷くんが勝手にあたしの分まで名前を書いちゃって……」
あたしの話を聞いたあっくんが「ふーん」と面倒臭そうに答える。その声は、やっぱり少し不機嫌そうだった。
あたしが応援団やるのって、そんなに向いてないのかな。
リズム感がなくてダンスだって下手だし。あたしがクラスの足を引っ張るって思ってるのかも。
あっくんの不機嫌な顔を見ていたら、もともとなかった自信が余計になくなってきた。
誘ってくれた富谷くんには悪いけど、体育祭委員のあっくんの権限でやっぱり他の係に替えてもらおう。