ボーダーライン。Neo【上】
 口実は何でも良かった。ただ、秋月くんに会えたら、顔が見れたら、声だけでも聞けたら、それで満足できたのだ。

「本当に単なる風邪だから。電話に出なかったのも、寝てるだけだと思うし。……ね?」

 未だに腑に落ちなかったが、カイくんの笑顔を見て、これ以上は追求できない、とそこで諦めた。

 その日の放課後。帰りのホームルームを終えたあたしは、いつも通り職員室に向かっていた。

 途中、購買にある自販機でコーヒーを買おうと寄り道する。

 ーーあ。

 先に並んだクラスの男子に気付き、声を掛けようとした時。思いがけない会話を耳にした。

「え? マジ? 檜が??」

 ーーえ。

 好きな人の名前に自然と耳が傾く。

「おう。ってかさ~、ほら。現に今休んでんじゃん?」

「ああ~、確かに」

「つか、工事現場とかよくやるよなぁ~?」

 ーー工事現場??

 大西くんと丸橋くんに、調子良く話す内田くんを凝視し、近付いた。

「内田くん。それどういう事?」

「え? うわッ! サッチャン先生!?」

 慌てる内田くんと同様に、他の二人も不味いとばかりに目を泳がせる。

 内田くんに詳細を聞き出し、唖然とした。すぐにでも確かめる必要がある。
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