ボーダーライン。Neo【上】
 幸子は熱い吐息を漏らし、僕の首に腕を回した。そして、好き、と呟く。

 彼女が好きなのは、果たして僕とするこの行為なのか、それとも僕自身なのか。

 結婚するくせに、と胸中でなじり、薄く笑う。

 魔性の女だな。とことんイジメてやりたくなる。

 そう言えばとふと思い出した。

 幸子はこうなる前に、昔みたいに抱いて欲しいと言っていた。

 昔みたいに、と考えて口端を持ち上げる。

 それならその期待に応えてやろう。昔みたいに、ねっとり執拗に攻めてやる。

 幸子がもうやめてほしいと泣きながら懇願するまで、この体に快感を刻みつけてやる。

 後に僕との性交(セックス)を思い出し、また欲しくなるようにと、魔法をかける気持ちで僕は幸子を求めた。

 唇を合わせたまま右手を下げ、胸板で潰していた丸い丘をそっと包み込んだ。

 張りのある白い肌はまるでマシュマロみたいで、一度揉みしだくと病み付きになる。

 首筋から舌を這わせながら、丘を両手で掌握する。固く尖った(いただき)を指先で弄り、舌でコロンと舐め上げた。

「……んんっ、ふぁっ……あぁっあっ」

 大きく反応を返す様を見て、相変わらずここが弱いらしいとほくそ笑む。

 ペロリと執拗に舐め回し、片方を唇に挟んで舌で(くすぐ)る。大きく口の中に含んで吸ったり揺らしたりすると、幸子は首を仰け反らせて喘いだ。

「ふっ、んぅ、ん……っ、ひの、きぃっ……あぁっ」

 途中、喘ぎ声が恥ずかしいのか、幸子は口をぎゅっと閉じ、目を瞑る。
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