ボーダーライン。Neo【上】
 電話の向こうで、彼はいっ時押し黙り、あたしの本心へ鋭く切り込んだ。

『愛してないんだろ?』

「……え」

 思わず目を見張り、黙り込む。

『そいつの事。愛してないのに結婚するつもり? やめちまえよ』

「……なっ」

 図星だっただけに、頬がカッと熱くなり、唇が震えた。

「何でそんな事っ、言われなきゃいけないの?? あなたに関係ないじゃないっ!」

 言ってからハッと口元に手を当てた。

 そうだな、と冷静に返す檜の口調に胸が痛んだ。

「俺には関係ない。でも鍵はちゃんと返して貰うし、あの金もいらない」

 あたしは唇を引き結び、何も言えずにいた。

「……また連絡する」

 そう言って通話は途切れた。

 手の中のスマホを握り締め、どうしよう、と眉根を寄せる。

 心は不安定に揺れ動き、完全に平静を失っていた。

 まさかこんな展開になるとは予想だにしなかった。


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