monochrome

天咲から、タオルを受け取る。
夜風が火照る体に染み渡って気持ちいい。

「これやったら、自分の身は自分で守れそうやね」
天咲「…でも、大切な人は守れなかったよ」
「…」
天咲「まだまだ、強さが足りないってことかな」

ハハって、乾いた笑いが公園に響く。
なんか抱きしめたくなって、天咲を腕の中に閉じ込めた。

天咲「直樹?」
「…俺が、天咲の仇とるから」
天咲「え?」
「もっと強なって、天咲の仇とって天咲と8人安心させるから」
天咲「…」
「自分がダメとか、弱いとか、そんなこと言わんで」
天咲「なんで直樹が泣いてるの?」
「天咲がつらいのに笑ってるから代わりに泣いてるんやんか」
天咲「ふふ、ありがとう」

いつの間にか腕の中に閉じ込めてたはずの天咲が、俺の頭を撫でてる。
この子の弱さも強さも含めて包み込んであげたい、そう思った。

桃「おい、あいつら何やってんだよ」

…俺が抱き締めたところを桃田くんに見られ、後でこっぴどく叱られるのは、この時の俺はまだ知らんこと。
< 25 / 134 >

この作品をシェア

pagetop