キミの世界で一番嫌いな人。




それからもう1通、先輩から追うように再び。


“後ろの男に気をつけろ”


……え?
うしろの男……?

思わずキョロキョロと見渡すけど、とくにこれといって目立つ人はいない。



「アッキー!こっちが宇治抹茶で、こっちが小倉!」


「お、気が利くじゃん。じゃあ俺、両方」


「えっ、そーいうのアリなの!?じゃあ分けっこしよ!」


「…お前ほんと、そーいうとこ」



それはそうと最近アッキーがおかしい。

笑いかければじっと見つめてくるし、よくわからないことを言う。


なんか誰かと重ねてる…みたいな。



「ねぇ今の舞妓さんすっごい可愛くなかった!?」


「白塗りやめたほうが絶対いいのに」


「…アッキー、舞妓さん嫌いだろ」



そこには他校の修学旅行生もちらほらと。

祇園だっけ、ここは確か。



「タイムスリップしたみたいだねぇ。アッキーは幕末に行っても喧嘩してそう…」


「相手は日本刀だよ?俺はお前みたいに馬鹿じゃないからちゃんと考えるって」


「あははっ!ご用改めだーーーって!」



こんなに平和でいいのかいってくらいに、平和。

なぁーんだ、湊川の修学旅行ってめちゃくちゃ楽しいじゃん!!



「あっ!あそこにも舞妓さんっ!」


「お前あんまはしゃぐなよ。一緒にいる俺が恥ずかしい」


「わかってるっ───うわっ!」



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