AIが決めた恋
そして、それからもゲームは順調に続いていった。僕の左隣にいた男子が上がり、残り3人となった。3人とも残る指は1本ずつ。
僕は絶対に負ける方法に気がついた。
現在指の数は残り3本。例えばこの場合、『指スマ3』と言い、僕が残っている1本の指を立てなければ良いのだ。そうすれば、他の2人が指を上げたとしても、2本で外すことができる。

「指スマ2!」

本田くんの右隣にいる男子が声を上げた。
立てられている指の数は2本。

「おっしゃー!!上がり!!」
「うおおおおお!やべぇ!!残り俺と蛍貴じゃんか!!ここからは本気出すかんな!覚悟しておけよ!」

今までは本気ではなかったということだろうか。そもそも、指スマに本気も何もあるだろうか。

「指スマ1!!」

立てられた指の本数は2本。本田くんは呆気なく外してしまった。

「くっそぉぉぉぉぉ!!!!!」

僕の番だ。ここでも僕は計画通りにすることにした。

「指スマ2。」

僕は自分の指を立てなかった。立てられた指は1本。簡単だ。あとは相手が勝つのをただひたすら待てば良い。

「なあ、おかしくねえか?」

1番初めに上がった男子がそう言った。

「俺が勝てないことの何がおかしいんだよ!本気でやってんだよ!」
「そうじゃなくて。佐倉、今、自分の親指を立てなかったよな?」

心臓がヒヤッとした。しかし、それを必死に隠して、自無言で頷いた。

「でも、お前は『指スマ2』と言った。相手とお前の両方が指を上げなければ、『指スマ2』は成立しない。それなのに何故、お前は指を立てなかったんだ?まるで、自ら勝負に負けようとしているみたいじゃないか。」

バレた。
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