AIが決めた恋

「佐倉くんは、皆とは違うから…、だから気になっていたのです。」
「皆と違う？」

そんなはずはない。僕は、至(いた)って何の特徴も無いのだから。特別イケメンなわけでも無ければ、特別頭が良いわけでも、運動ができるわけでもない。その上、性格は地味で目立たない。

「はい。」
「どんな風に違うの？」
「オーラが、特別。」

オーラ？以前、湖川さんは僕のオーラが赤だと言っていた。赤が特別だとは思えない。

「赤なんて沢山いるんじゃないの？」

僕がそう聞くと、湖川さんはゆっくりと首を振った。

「この色を、見ることができて良かったです…。」

語尾は消えかけていた。
湖川さんの目が段々と細くなっていき、再び目を閉じた。

「湖川さん…？」

どうやら、眠ってしまったみたいだ。先程よりも顔色が良くて安心する。
色々なことがあって、きっと疲れてしまったのだろう。

布団からは、ほっそりとした手がはみ出ている。指先には、いくつかの絆創膏が貼られていた。きっと、家で裁縫の練習を相当したのだろう。
僕は、なんとなく、その手を左手で握り、右手を彼女の額の上に手を置いた。

「好きだ。」

自分でも意外なくらい自然とその言葉が口から飛び出てきた。そのことに酷く驚いているが、でも、この言葉が1番しっくり来るような、そんな気がした。