AIが決めた恋
「真島くん、何故、あんなことを…。」

私は皆に聞こえないよう、小声で真島くんに言った。

「あんなこと?」
「で、ですから、その…キ、キス…するかもしれないと…。」
「ああ、俺は事実を述べただけだ。」

じ、事実…!?そ、それってまさか…!
『キスする予定は無いとは限らない』というのは、真島くん自身は全くそのつもりが無くても、私にはあるかもしれないと思っていたからではないのだろうか…!

「あ、あの、心配しなくても、私が真島くんにキスすることはありませんので、大丈夫ですよ。」
「何を言っているんだ?」
「えっ?」
「俺が…するかもしれない…から。」
「へっ!?…あの、冗談…ですか?」
「ちゃんと話を聞け。俺は『事実を述べた』と言った。冗談ではない。」

真島くんは何を言っているのだろう。私達が形だけの関係だと言ったのも、私の名前を呼ばないのも、深く干渉しないと言ったのも、全て真島くんの方だ。そんな真島くんが、私にキスする可能性は、明らかに0だと言える。
どうしたのだろう。あまりにも他の生徒の黄色い声が大きくて、おかしくなってしまったのだろうか…。
いや、よく考えるんだ。真島くんが、『キスするかもしれない』と言った意図を、私はしっかり考えなくてはならない。パートナーなのだから。
どうして。何故だろう。
はっ…!ま、まさか…!!
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