AIが決めた恋
「君、水原奏汰と言ったね?」
「はい。」
「じゃあ、奏くん。僕は藍の従兄の湖川裕だ。」
「本当の兄妹ではないんですね。宜しくお願いします。」

水原くんが、裕さんに握手を求めた。その光景に、僕はヒヤッとする。
彼と初めて握手した時の記憶は、あまり良いものではない。
しかし、裕さんは、自分の手を差し出さなかった。

「いや、まだ宜しくない。」
「え?」
「奏くん。君は藍に恋愛感情を抱いているのか?」
「ちょっと、お兄ちゃん…!」

いくらなんでも、人がいる前で、そんな質問を堂々としてしまうなんて…。
水原くんも、困っているだろうと思ったが、彼の顔はまるで本物の王子のような笑顔だった。

「恋愛感情なんて、抱いていませんよ。彼女は僕を助けてくれたから、大きな感謝はしていますけど。」

そう言えば先程、いじめられそうなところを湖川さんが助けてくれたと言っていた。

「そうか!」

裕さんの顔が明るくなる。

「じゃあ、宜しく!奏くんっ!」

やはり、裕さんは二面性がある。果たしてどちらが本当の裕さんなのかは分からないが、きっとどちらも本当なのだと思う。
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