AIが決めた恋
「それにしても!高校生に囲まれてると、僕も青春時代に戻ったような気がするなぁ!」
「え〜、裕くんはまだ若いじゃん。まだまだ青春でしょ?」

陽芽さんが尋ねる。

「そうだな。確かにまだ一応ギリギリ未成年だし。気持ちが大切か。」
「そうそう!」
「じゃあ、夕日に向かって走ってみる?」

え?

「うん。夕日に向かって走れ〜!!」

裕さんが走り出す。

「ちょっと、お兄ちゃん…!」

そう言って、湖川さんも裕さんの後を追いかけた。

「なんだよそれ!めっちゃ楽しそうじゃん!お陽芽、走ろうぜ!」
「しょうがないな〜。」

本田くんと陽芽さんが走り出す。

「桃野奏風さんだっけ?」

水原くんが桃野さんに尋ねる。

「そうだよ。」
「じゃあ、奏風ちゃん。一緒に走ろうか。」
「えっ…!?いいの?」
「うん。」

そう言って、桃野さんと水原くんも走り出した。
残るは僕と真島くんだ。

「真島くんはさすがに──」
「走る。」
「えっ!?」

そしてとうとう、僕一人だけになり、仕方なく走り出した。
走り出した瞬間、顔に心地よい風が当たった。
仕方なく走った割には、気持ちが良い。
こうやって、友達と一緒に夕日に向かって走るだなんて、傍から見たらイタいのかもしれないが、僕にとっては新鮮だった。
好きなことも何一つ許されず、“友達”というものも知らず、完全に支配されていた、今までの僕の人生を、その風が吹き飛ばしてくれるかのようだった。
僕は、僕でいいんだ。
無理に我慢しなくても、感情を殺さなくてもいいんだ。
素直にそう思うことができた。
だって僕は今、自分の意思で、夕日に向かって走ることができているのだから。
こんなに素敵な仲間達と一緒に。
< 327 / 508 >

この作品をシェア

pagetop