AIが決めた恋
舞台の前の出来事が原因だ。
できるだけ気にしていないフリをしていたつもりだったが、全くできていなかったみたいだ。

「もしかして、避けられてる?ほら、僕って、こんな性格だから、知らず知らずのうちに、湖川さんに嫌なことをしていたのかもしれない。もう、顔も見たくなければ、これからは関わらないようにする。」

そんなこと…。

「そんなこと言わないでくださいよ。」
「え?」
「私は、貴方を失うのが…嫌われるのが怖いのです。」

ちゃんと言わないと、きっと伝わらない。
影石愛に全てをはめられたことを言えたら良いけど、それは言えないから、違う形で私はSOSを出さなければならないのかもしれない。

「罰ゲームを回避してもらったり、迷子を助けてもらったり、倒れた時に保健室へ運んでもらったり…。佐倉くんにはいつも助けてもらってばかりです。そんな相手と関わりたくないと思うわけ、ないじゃないですか…。遊びなわけ、ないじゃないですか…。」

こんなことを言葉にするなんて恥ずかしい。でも、恥ずかしい思いをしてでも、私は彼を失いたくないんだ。

「じゃあ…、最近よそよそしいのはどうして…?」
「そ、それは…、最近よそよそしいのは…、その…、さ、佐倉くんが酔った勢いで、わ、私にキスしてくるからですよ…!」

言ってしまった。
ずっと黙っておくつもりだったのに。
顔が熱くて、これ以上、何を言えば良いのか分からなくて、私は再びその場から逃げ出した。
今度はもう、佐倉くんは追いかけてこなかった。
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