AIが決めた恋
「痛たたたたたた…。」

目の前の人が、腰をさする。

「大丈夫ですか?」

ぶつかってきたのは相手だが、曲がり角付近で立ち止まっていた自分も、少しは悪い。それに、相手は尻もちをついてしまったのだから、一応、謝っておいた方が良い。

「すみません。ぶつかってしまって。」
「いえいえ、俺が走っていたのが悪いんです。」

持っていたスクールバッグをはたきながら、顔を上げる、“彼”には、はっきりと見覚えがあった。

「…水原?」

彼とは一度だけ会ったことがある。
文化祭の時、ミスターコンテストで優勝していた人だ。何でも、俺のパートナーに助けられたみたいなことを言っていたような。

「あ、貴方は確か…。」
「真島広大。」
「そうだ!藍さんのパートナーの。俺のこと、覚えていえくれたの?ありがとう。」

水原が、ニコッと微笑む。
自分が女子だったら、間違いなくドキッとしてしまうような、完璧な笑顔だ。
二重で鼻が高くて、口はキュッと結ばれている。イケメンの典型だ。
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