AIが決めた恋
「走っていたということは、急いでいるのか?」
「別にそういうわけじゃないんだ。彼女と待ち合わせをしていたんだけど、それほど急いでるわけじゃない。でもね、早く彼女に会いたくて。」

恥ずかしい台詞を、なぜ事人はなんの躊躇(ためら)いも無しに、堂々と言えるのだろう。

「あ、そんなことより、真島くんの筋肉凄いね!凄く硬かったから、つい吹き飛ばされちゃった。」
「ごめん。」
「いや、責めてるわけじゃなくてね。何て言うか、ちょっと触らせてよ。」
「えっ…。」
「駄目?」

それほど親しくしていない人に、触れられるのは、あまり得意ではない。
しかし、水原は、好奇心が溢れて止まらないようなキラキラした瞳でこちらを見つめている。
さすがモテるであろう男は違う。きっと、誰に何かをねだることくらい、日常茶飯事で、慣れているのだろう。
仕方ない。

「駄目じゃない。」
「本当!?ヤッター!ありがとう!」

水原はガッツポーズをして大袈裟に喜ぶと、遠慮なさそうに、早速俺の腹筋に人差し指を当てた。

「うわぁ!凄い硬い!何か運動やってるの?」
「剣道。」
「剣道か〜、『メーン!』とか『コテー!』とか言うやつだよね!あまり大きな声を出してるイメージが無いから意外だなあ。」
「そうか?」
「うん。いやあ、それにしても、こんな硬い腹筋の持ち主に抱きしめられたら女の子もイチコロだ。やっぱモテる男は違うね。俺も鍛えようかなあ。」

彼は、腹筋を触りながら、訳の分からないことを呟いている。
そろそろ手を離して欲しい。何か他の話題を提供した方が良いかもしれない。
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