AIが決めた恋

「『えー。』じゃねえよ。相性最強なんだろ。」
「でも、蛍貴はもう帰っちゃったみたいだし。それに…私、蛍貴のこと、そこまで好きじゃないんだもん。」
「思ってても、そういうこと言うなよ。」
「だってぇ。」

そう嘆くと、彼女は俺の耳に唇を近づけた。

「私は広大のことが好きなんだよ。」

耳元で囁かれ、俺は咄嗟に彼女から離れる。
いちいち、馴れ馴れしくしないで欲しい。

「お前と一緒に帰るメリットなど何も無い。だから、一緒に帰ることは断る。」
「そう。残念だなぁ。」
「だが、お前に聞きたいことがある。屋上に来い。」
「えー。屋上って、特別な日じゃない限り、鍵がかかっているでしょ？」

そうだ。屋上は、生徒が普段入ることができないように、鍵がかかっている。当然、今日のような何でもない日は、生徒が屋上に入ることはできない。
でも、俺は知っている。

「お前なら屋上の鍵を開けることくらい簡単だろ。」
「ふふっ。まあね〜。」

影石愛はそう言うと、スクールバッグの中からスマートフォンを取り出した。
そして、電話アプリを開き、何度か操作を繰り返すと、スマートフォンを耳に当てた。