最後に見たのは君の泣いた顔だった

秒針

「つっかれたぁ…。」

ぐーっと伸びて、顔をあげた。


放課後に残りなんて聞いてなーーい!


とか思ったけど、委員会の仕事って言われたら仕方ないじゃん…。

あーぁ、今日は空来と一緒に帰るつもりだったのに…。

石鹸を補充したり、掃除用具を点検したり…。
ずっと前かがみだったからか、腰も痛い。


「なに赤くなってんの?タコみたいになってるけど」


「誰がタコですって!?」

おー怖い怖い。なんて言っちゃって…。

てか、なんで空来がここに…?もう帰ったんじゃないの?


「俺も委員会」


といって、図書室を指差した。

でも、嘘ってことは知ってる。だって、


「図書委員は明日集合でしょ。バカ」



「よく知ってんじゃん。愛未、帰ろ」



「2時間も待ってたの?」



「まぁ、俺は愛未のお世話係ですから」


そういうの別にいいのに。
強制でもないし、空来に得なこともないし…。

なんで一緒に居てくれるのかな。

暖かい。


その温もりを私は感じちゃいけないのに…。

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