最後に見たのは君の泣いた顔だった
2.過去を還る

時間

ブランコにすべり台に鉄棒…、西に向かって階段を数段降りると、小さな広場みたいなグラウンド。

南北に出入口があって、南口のすぐ手前にはベンチにグリーンカーテンの屋根がある。


「懐かしい。」


もう二年近くも来てなかったんだ。色々変わったなぁ…。

あんなに輝かしくキラキラに見えていたのに、随分と色褪せてるように感じる。


トキは一瞬で、すぐに過去になっていく。


近所の子どもたちの笑い声に、笑みを浮かべながら空来はブランコに座った。


子どもが大好きな空来だから、きっと混ざりたくなったのかな?


「昔ここでボール遊びして、怖いおじちゃんに叱られたっけ…。愛未そんとき大泣きして、貫禄のあるおじちゃんも慌てて宥めたんだっけ?」


あー、そんなことあったなぁ。その時は怒鳴り声が怖くて、「ごめんなさい」って何度もいいながら号泣したんだっけ…。

いや、泣き虫すぎて恥ずかしい。。



「それで近くのコンビニでアイス買って貰って、皆で食べてかえったっけ。もう五年は前の話だよ?」


とかいって笑ってる私も私だけど。


「そっか~。でも、まだ五年だろ?」


「それもそっか」



私にとって五年は長い年月で、古い記憶で…、アルバムなんかを見て「懐かしいね」って笑ってたけど、この場所には小さい出来事で、新しい子どもたちの記憶に塗り替えられて、それが繰り返す。



「人なんてすぐに忘れる生き物だ。でも…だから、必死に皆生きるだろ?写真だったり記憶だったりに残してさ。」


そうだねって頷いた。
このキラキラは一瞬にしかないけれど、この一瞬を想い出に残せるのなら、私は君と一緒がいい。



「愛未こっちきて、写真とろーぜ!」


「ちょっ」



引き寄せられた腕が、引っ付く肩が、今はすごくもどかしくて嬉しかった。


「てことで、アイスでもかって帰るか~」



「なんでそうなるの~」


っていって笑いながら帰ってる。

これからも二人でいれば最高だねって。
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