最後に見たのは君の泣いた顔だった

空来2

○●○●○●○

「来年はクラスが一緒になれるといいな」



そうすれば、お前とほぼ一日中いれるしな。


再来年まで一緒にいれるかはわからない。
今だって、いつ縁がきれるとかわからない。


俺たちは異性だ。

それも年頃の男女だ。

いつまで俺も"お世話係"なんかで通用するだろうか。

いや、もうしないかもしれない。


学校中だと既に公認カップル~!なんて冷やかされて、新聞部に追いかけ回されたことも幾つかある。


まあ、そんときは愛未が「空来はお世話係だよ?ないない」って笑ったから収まったものの、あの可哀想な物を見る目はおぞましい…。


人間いつ気が変わるかなんてわからない。

時間なんてあっという間に過ぎてしまう。


思い出なんて、覚えていなければ思い出にすらならない。


だから、人は何か"形"にして残すんだ。

そうじゃないと記憶は消えていくから。

上書きされて無かったことになってしまう。

…あいつみたいに。



アスファルトに立つ君の笑顔が夕日がかって、俺の心を締め付ける。


君は本当の家族を無かったことにしてしまった。


きっとあいつに残っている記録は、

初めて会った日からの俺との記憶と、本当の家族だと思い込んだ親戚と愛未の日常だ。


○●○●○●○
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