新妻の条件~独占欲を煽られたCEOの極上プロポーズ~
 壁一面の窓の向こうには、モナコの街並みが広がっている。

 リビングからはクルーザーやヨットが停泊している海が見えたから、逆側のようだ。彼の所有しているフロアはかなり広いのだとわかる。
 
 そしてホテルのようにリネン類などはシンプルであるものの、ブラウン系で統一された家具や調度品はアンティークで豪華だった。
 
 私の部屋と雲泥の差なのは間違いない。

「今は四時か……八時に夕食だ。テラスに来てくれ。それまでくつろいでいて」

 瑛斗さんは左手の腕時計を見てそう告げると、部屋を出ていった。

 ひとりになると、どっと疲れが押し寄せてきて、磨かれた艶のあるフローリングの床にゴロンと横になる。

 おじいちゃん……なんで言ってくれなかったの……?

 腕を目の上に置いて、目を閉じる。

 女らしくない。

 唯一の身内からそんなふうに思われていたショックが今なお続いていて、声を出して泣きたい気持ちだった。 

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