御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
◇◇◇

「少し遅くなっちゃったね。大丈夫?」

自宅に到着する間際、車は正面に回る前に裏の広い道路に停車した。

連れ出すのは初めてだから夕食の時間には帰すと父に告げていたらしい透さんは、午後五時を指す腕時計を見て「間に合ったかな」とつぶやいている。

「はい。今日は本当にありがとうございました。楽しかったです」

「こちらこそ」

夢みたいだった一日がこれで終わると、まるで魔法が解けるシンデレラの気分になる。

なんだか帰るのが惜しい。家に戻って美砂と話したら、今日の思い出をすべて姉に捧げなければならない気がした。

「沙穂ちゃんにお土産があるんだけど、渡してもいい?」

「え?」

透さんはシートを少し倒して後部座席に手を伸ばし、ひっそりと置いてあった小さな荷物をとった。
巾着型の黄色いラッピング袋で、茶色のリボンがひまわりのよう。「全然たいしたものじゃないけど」と手渡され、私はドキドキしながらリボンをほどいた。

「これ……」
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