御曹司は箱入り娘を初夜に暴く~お見合いしたら、溺愛が始まりました~
「三鷹さんはウォールサポートのコンサルタントですか。優秀だなぁ。それであの三鷹ツアーズの御曹司。こりゃ完ぺきすぎてぐうの音も出ないな」

「いえ、そんな。池畠さんのお話もよくお聞きしますよ。若い実業家を代表される方ですから、今度飲食業界について詳しくお聞きしたいものです」

なにやら難しい話が始まった。気のせいかな、どちらも私には作り笑顔に見える。

その後も続く話を黙ってそばで聞いていると、いつの間にかこちらへ回り込んでいた美砂が、ウキウキした様子で私をひじでつつく。

「沙穂ちゃん沙穂ちゃん」

「なに?」

「素敵だよねぇ、私たちの婚約者さんたち」

あまりの甘い声に、私はギョッとして彼女を振り返った。
瞳をハートにさせてうっとりとしている美砂がいる。

「そ、そうだね」

「私たちふたりとも、一緒に幸せになれるなんて夢みたい。これから楽しい毎日が待ってるんだろうなぁ。ね、沙穂ちゃん」

お姉ちゃん……。

「うん……」

胸がチクチクと棘がささるように痛い。本当はこの光景は嘘だらけ。
でも大丈夫。もう少しの辛抱だ。透さんと結ばれれば、美砂は幸せになれるから。
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