嫌いなあいつの婚約者！？
　身支度を済ませて、広く長い廊下を歩いて辿り着いたのは、朝から豪勢な料理が並べられたこれまた広い部屋だった。

「うわっ」

　既に座ってコーヒーなんかを飲んでいる人の姿があり、見るとそれはやはり幼馴染みの涼だった。

　ただ、涼もまた貴族のような白い衣装を身にまとい、私の知っている彼とは少し違う。

「桜。早く朝食を食べないと、学校に遅れるよ」

　その話し方は、昔から私が知っている涼とはかけ離れており、背筋なんかもピンと伸びていて優雅な雰囲気を漂わせていた。

　朝から状況がいまいち飲み込めず、とりあえず椅子に座って慣れないフォークやナイフを使って目の前にある料理を口の中に入れていく。

　うん、美味しい。

　味付けから舌ざわりまで、文句をつける部分がまるでなくあっという間に食べ終えてしまった。

「じゃあ、行こうか」

　私が食べ終えた姿を見て、涼は立ち上がり先に扉から出て行く。

　別に、私なんか待っていなくても先に学校に行っていればいいのにと思うも、何かそうしないといけない理由でもあるのかととりあえず流れに身を任せることにした。
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