妖の木漏れ日カフェ
 夕方と夜の狭間の時間の空は、オレンジ色と紺色がグラデーションになっていて、神秘的な雰囲気を醸し出していた。

 ヤクモさん、ハトリさん、カイさん、スミレさん、みんながお庭に集まってくる。この前は見るだけだったけれど、今日は実際に花火ができる。

 ハトリさんは大きなスイカを持っていて、スミレさんは手にバットを持っていた。

 これはもしかしたら……スイカ割り?

「どう? 花火の前にスイカ食べない? うちの近くで買ってきたんだ」

「スイカは、夕食の後の方がいいんじゃないかー?」

「で、夕食はいつ食べるんだ?」

「花火の前かしら?」

「ってことは、今ですかね?」

 皆は一斉に、うん、と首を縦に振る。

 ということで、花火は一旦置いておいて皆でカイさんの家に向かう。

 とは言ってもすぐ目の前で十秒くらいで着いた。

 いつも家の中はは2人か3人だから、こうして皆がいるというのがとても新鮮で、家の中が一気に賑やかになる。

「皆で料理しましょうよ、せっかくだし」

「そうだね。カイを中心にやりますか」

「俺料理したことないけど頑張るぜ」

「怪我しないようにな」

「おう」

 あらかじめ買ってきておいた食材。魚や肉、後は畑で採れた野菜。それに、色とりどりのフルーツなんかもあって、今日は豪勢な食事になりそうな予感。

 ヤクモさんを見ると、不慣れながらも食材を切っていて、ハトリさんとスミレさんは意外にも慣れた手つきで進めていく。

 私もカイさんに教わりつつ、皆とお話をしながら料理をしていく。

「楽しいですね」

「ん? まあ、そうだな。たまにはこうして皆で作業するのも悪くはないな」

「はいっ」

 



< 65 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop