酔える声の裏側〜イケメン声優に溺愛されちゃった!?〜
「君は娘さんかい?」

「はい。
父がお世話になりました。」

「いやいや。
まあ、小さい頃に顔は拝見したことがあるんだが。時が経つのは早いものだよ。」

「なに?
まつりと会ったことがあるのか?

もしかして、世沙には会っていたのか?」

「まあ、前の話だがね。
君が世沙さんと別居したというから。僕が相談を受けていたんだよ。」

「それって...!
不倫じゃないか!?」

「物騒なこと言うなよ。ただ女の人1人だと大変だろう?
彼女には手助けが必要だった。
それを君は見て見ぬふりをしたんじゃないかい?」

「それは...。
世沙がもうしばらく会いたくないと言ってきかないから。」

「...君のそういうところが残念なんだよな。
情熱はあるのに、大事なところで力が出せない。」

「そんな...。」

「それなのに、世沙さんは、まだ君のことを好きだっていうんだ。
生活のサポートどころか、デートすらも断られて。
それに、今になってやり直すんだって?
ここのところ最悪な気分だよ。」

「だからこんなことをしたのか??」

「こんなこととは?」

「娘やその友人たちのことを困らせるようなことをしたんだろう?
マネージャーに情報を売らせるなんて、芸能界にいる者として言語道断だ。」

「ほう。」

「君にも娘がいるんだろう。」

「ああ。内縁との間の子どもだがね。」

「それなのに、僕の世沙に手を出そうとするなんて。」

「マルチな恋愛もありだとは思わないかい?」

なんか...御園ユウトが似たようなことを言っていた気がする。

「それに、君の主張に証拠があるのかい?
僕が君たちを困らせているという証拠が。」

「証拠はないが、娘のマネージャーの元交際者が証言しているんだよ。」

「ああ。彼か。
美代子はやけに彼を気に入っているみたいだからね。
彼が告げ口をしていたとは思わなかったが。

まあ、娘を自由にしてやるのは親の仕事だろう?」

「こんな好き勝手にやらせていいわけないだろう!
彼も困るし、何より娘の情報をバラすようなことは許せない。」

「娘の情報?」

「とぼけるな。
佐伯くんとのことをバラしてわざと週刊誌に追わせたんだろう?」

「だからなんだというんだい?」

「!!」

「君はそれを僕に説教できる立場なのかね?
もう何十年も前に芸能界から身を引いた君が、こちらの方針に口を出したって無駄なことだよ。」

「なんだと...?」

「まつりちゃんも分かるだろう?
もう君の父親には力がないんだよ。

それに。」

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