酔える声の裏側〜イケメン声優に溺愛されちゃった!?〜
「なるほど、そんなことがあったんだ...。」

マカに電話で報告した。

「確かに、御園ユウトって最近よくテレビとか出てるよね。佐伯さんとは対照的といってもいいぐらいの扱いの差かも。」

「...はっきり言って佐伯さんの方がかっこいいのに。」

「えーそう言われるとますます会って歌手にプロデュースしてあげたくなるな。
思い切って事務所退社も検討してくれない?そしたら私のいる事務所に入れてもらうから、なんて。」

「それは佐伯さんの意見をきかないと分からないけど...。」

「そうだよね。ごめん。
まあ、私も事務所と契約してプロデューサー業やらしてもらってるけど、正直言ってひとりで事務所立ち上げてもいいんじゃないかなって思ってたんだよね。そしたら制限とか気にしなくていいし自由に活動できるから。」

「でも、全部自分の責任になっちゃうわけでしょ?怖くないの?」

「そりゃあ後ろ盾無くなるわけだし怖いよ。アーティストを食べさせていけるかとかも関わってくるし。
だから、今すぐにとか考えてるわけじゃない。でも、それでも今やらなきゃいけないって決めれることが今後生まれたら
迷わず私はやる。」

「マカは本当に強いね。」

「土壇場だけだよ。普段プロデューサーとしてはまだまだ。」

私の心の中に生まれた小さな違和感。

それが今後どのように関わってくるかなんて、このときは知る由もなかった。

「あ、電話してくれたのにごめんね。
これからライブの全国ツアーの準備しなきゃいけなくて。また落ち着いたら掛け直すね。」

「あ、うん。
こちらこそ忙しい中ごめん。」

「じゃあね。
おやすみなさい。」

「うん、頑張ってね。」
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