こんぺいとうびより
真海の家に着くまで二人とも無言だった。

「・・・その、わざわざ、あ、ありがと。」

部屋の玄関の前で向かい合う。

「・・・おお。」

「・・・あ、ちょっと一瞬待ってて。」

真海は部屋に入りすぐに戻ると悠馬にタッパーを差し出す。

「・・・ぬか漬け。よかったら食べて。暑い時は水分だけじゃなくて塩分もとった方がいいらしいから。」

「サンキュ・・・じゃーな、ゆっくり休めよ。」

「うん・・・また明日。」

悠馬は踵を返してエレベーターに向かおうとした。真海はとっさに彼の服を掴む。

「お!?」

振り向くと真海は俯いてなんとか声を絞り出そうとしている。

「・・・あのさ・・・。」

「・・・な、なんだよ?」

「・・・。」

「今城?」

「・・・もし明日の午前中、先方から何か問い合わせあったら連絡して。」

「わかったよ。じゃ・・・お疲れ。」

「お疲れ。」

真海は悠馬がエレベーターに乗り見えなくなるまで見送り、玄関に入るとその場に座り込んだ。

───呼び止めて言いたかったのはあんなことじゃない。私も、あいつのこと───。



翌日の午後に出勤した真海を見て、悠馬は思わず椅子から立ち上がった。

「お、おおお前!!・・・どうし??・・・え?何で・・・!?!?」
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