こんぺいとうびより

「え～っ。」

新貝一直(しんかいかずなお)は口を尖らせた。

「席も料理も皆と変わんないじゃないですか・・・二人が結ばれたのは俺のおかげだから、結婚式はVIP待遇にするって葉吉さんと約束したのに・・・。」

うららかな春の日。

葉吉鈴太郎(はよしりんたろう)・彩木衣緒(あやきいお)の結婚パーティーが緑溢れる庭がある温かな雰囲気のカフェレストランでこじんまりと行われた。

「いいじゃねえか新貝。結果お前は玉川さんと幸せになれたんだし。」

同じ丸テーブルに座る北岡悠馬(きたおかゆうま)が花の形に折られたテーブルナプキンを広げて膝に敷きながら言う。

「そうだよ、一直。さっきから彩木さんのことばっかり見てない？そりゃ、綺麗でかわいいけど・・・。」

玉川璃子(たまがわりこ)も口を尖らせながら新郎新婦の席にちらりと目をやる。

衣緒はふんわりとしたプリンセスラインの純白のウェディングドレスに身を包みながら、苦手な人前で恥ずかしそうにしている。