こんぺいとうびより

「見てないよ。葉吉さんに怒りの視線を送ってるだけだよ・・・これからは璃子のことしか見ないって言ったでしょ。」

一直が頬を染めながら俯いて言うと、璃子も同じように赤くなる。

「ちょっと、こんなとこでいちゃつかないでよね！ただでさえ結婚式って新郎新婦のラブラブを見せつけられて暑苦しいんだから。」

今城真海(いまぎまなみ)がうんざりした様子で言うと、一直が反撃を繰り出した。

「ま、北岡さんは今日ずっと、ドレスアップした今城さんに釘付けですからね。」

「な・・・！」

真海が赤くなりながら言葉に詰まると悠馬が慌てて話を逸らす。

「新貝お前、玉川さんと付き合うことはないって言ってたくせに、今や社内一のバカップルじゃねぇか！高級焼き肉おごれよな。」

「は！？そんな約束してないじゃないですか！」

「うるせえ！何でもいいからおごれ！支社に行く前に！・・・あ。」

悠馬は『しまった』とばかりに口に手を当てて璃子の方を見る。

「あ、はは、まだ二ヶ月あるし、おごるとか高級焼き肉とか関係なく、たくさん飲みに行きましょ！」

璃子は明らかに無理しているとわかる笑顔を顔に張り付けて空元気で言った。

「おーい、お前たち喋ってばっかりじゃなくて食えよぉ。どれもすげーうまいぞぉ。」

真中英朗(まなかひでろう)が頬を上気させながら言って、皆も食事にとりかかった。