キミと、光の彼方へ。
「キャーっ!つめたぁい!」

「さゆちゃん行くぞ~」

「もぉ!止めてよ、お父さん!」


庭で砂汐奈とあの人が水鉄砲で遊んでいる声が聞こえてくる。

私は部屋の隅で丸くなり、暑いというのに枕を抱き抱え、そこに顔を押し付けた。


「海里......」


海里の顔を思い出すと涙が溢れてくる。

枕が吸い込めなくなるんじゃないかというくらい、止めどなく溢れてきて染み込んでいく。

せめて最後までちゃんと言わせて欲しかった。

好き。

ただそれだけ。

そのたった2文字も言えなかった。

海里が好きなのは会沢さんで、きっとあの日も何かあったんだ。

私は海里に優しくしてもらえたのが嬉しくて、1人で舞い上がって、海底に突き落とされた。

海里は優しいから、止めてくれたのだろうけど、私にはそれが痛かった。

心のど真ん中を矢で射られたように、呼吸が出来なくなって苦しくて、もう泡になって消えてしまいたいなんて思った。

それくらい好きなのに、それを伝えることで自分と向き合いたいって思ったのに、それも拒まれてしまったら、私は一体どうすれば良いのだろう。

また考えるんだ。

何回も何回も何回も考えながら生きてくんだ。

でも、もう......疲れたよ。

何もかも、忘れたい。
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