キミと、光の彼方へ。
去年から私の周りも、私も色々と変わった。

現在、母は島を出て、祖父母が住む町の大きな病院に入院している。

瀬代さんのことはやっと父だと認識できてきたけれど、まだ瀬代さんと呼んでしまっているのは、1年前とあまり進歩がないように感じる。

そして、今は1人で登下校をしている。

私から海里に断ったのだ。

いつまでも海里と一緒に歩いていてもけじめがつかないと思ったから。

海里のことは今でも好きで、でも幼なじみ以上になることがないという事実を受け入れてから時間が経ったお陰で、やっと私の心も落ち着いてきた。

ちなみに海里は大学の推薦をもらってるから、あと2ヶ月後には試験を受けてそのまま合格だろう。

8ヶ月後には、海里は島を出る。

それは、砂良も一緒だ。

砂良は水族館で飼育員として働きたいと突然思い立ったらしく、飼育員になる人のためのコースがある専門学校にAO入試を受けて無事に合格した。

私はというと、自分の進路と向き合わずにふらふらと自由航海をしてきてしまった。

舵を切ってもどこにも辿り着かず、明らかに大海原に取り残された難破船になった。

変わらないのは、どこまでも青で繋がる空と目の前で太陽の光を受けて光る海と潮の香りだけ。

景色より人間の方が変化は激しい。

変わらないものなんてないんだ。

それを悲しむ理由も1つもない。

変わっていくことを受け入れることしか許されない。

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