キミと、光の彼方へ。
「ただいま」

「お帰り、珠汐奈」


母はちょうど庭に出ていきたかったらしく、私は母の手を取って歩いた。

母は庭を懐かしそうに眺めた後、目を細めて私を見つめた。


「珠汐奈は小さい頃から人見知りでね、なかなか人の輪の中に入っていけなくて、いつもここに1人で遊んでいたの。私が体が弱くて一緒に遊んであげられなかったのに、文句の1つも言わなかった。
だけど、心のどこかに寂しい気持ちがあったんでしょうね。潮男さんが帰ってくるとぴったりくっついて一緒にお風呂に入って、眠って、起きたら遊んで...。
それに妹が出来たって知ったらすごく喜んで、今でも砂汐奈のことを大事にしてくれてる。
私は珠汐奈に感謝しかないわ。珠汐奈、良い子に育ってくれてありがとう」


母の思いに胸も目の奥もじわじわと熱を帯びてくる。


「だから、珠汐奈はもっと自分に自信を持って、自分のやりたいようにやりたいことをやってほしい。今まで寂しい思いをした分、今まで悲しんだ分、今まで我慢した分、これからは人生を楽しんでほしい。自分の人生を自分の足で歩いて、1度きりしかない自分の世界を色付けて欲しい。そして、それが出来るように、きっと、もうなってる。珠汐奈のこの手のひらから伝わってくるもの」


私は頷き、母に笑いかけた。


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