キミと、光の彼方へ。
お互いに何かを察して立ち止まる。

風は凪ぎ、波は穏やか。

雲の流れは緩やかで、空気はとても澄んでいる。

私は静かに目を閉じ、その時を待った。

彼の吐息が聞こえてきて脈が上がり、上手く出来るかなと不安になる。

だけど、その不安も、一瞬で蒸発した。

あの香りを吸い込んで、

この唇で感じて、

体がすごく熱くなる。

これが愛が循環して上がる温度なら、上がりきって溶けるように眠ってしまいたい。

そう思えるくらい幸せで、誰にも奪われたくない8秒間だった。

目を開ければそこには、照れくさそうに笑う帆栄がいた。

そして、目を泳がせた後に私のことを抱き締めて、あの言葉の続きを言った。


「珠汐奈が...大好きだ」



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