キミと、光の彼方へ。
「桑嶋さんはさ」


こっちが真剣にラインを引いているというのに、話しかけてくる碧海くん。

1000メートルの円は前の書き残しがあるとはいえ、書くのが難しい。

集中力を削ぐようなことをしないでほしいと切に願う。


「部活やってないよね?バイト?」

「まぁ」

「もしかしてさ、漁港に近い...えっと...なんだっけ?」

「ハマート」

「そう、それ!そこで働いてんの?」

「そうだけど、何で分かるの?」


怖い。

私、碧海くんにつけられてるの?

少しだけ視線が鋭くなる。


「去年からちょこちょこ見かけてる。あそこおじさんおばさんが多いから高校生は目立ってんだよ。桑嶋さんはハマートの看板娘だな」

「そんなわけない」

「そうかぁ?前より客増えた気がするけど」


どうでもいいことをいつまでも喋る。

口は達者。

海里とは正反対。

こんなにも海里とまるっきり違う人と初めて関わった気がする。

恐らく今までにも極僅かにいたのだろうけれど、気にもならなかったし、私に興味を持つ人もいなかったんだ。

平和に暮らしてきたというのに、波風立てられてしまった。


「なんか、最近すっごく思うことがあんだけど...」


今度は突然立ち止まり、東の空から登ってくる太陽に照らされた海の青と混じり合う空を見つめていた。

このペースに合わせられる人なんていない。

不思議な波長が辺りを揺らしている。


「跳べる気がする。今ならどこまでも高く......高く......」
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