キミと、光の彼方へ。
「聞いてる?」


私のその言葉にますます口角が上がる碧海くん。

何が起きているのかさっぱり分からない。


「えっと......あの......」

「今日不機嫌だな。もしかして眠いから?」

「別に、眠くも不機嫌なんかでもないって!」

「桑嶋さんってホント分かりやすいわ」


本当にこの人、私のあの恥でしかない顔面を見たんだ。

恥ずかしくて頬が熱くなってくる。


「恥ずかしがんなよー。人間眠い時もあれば、アクビの1つや2つ出ちまうことだってあんだからさぁ~」

「あぁっ、もぉ!最悪!」


海里にだって、砂良にだってあんなマヌケな顔見せたことないのに、出逢って間もない女たらしに見せてしまうなんて、天地がひっくり返るくらい私の中では大事件。

穴があったら入りたい。

今すぐここから消え去りたい。


「顔真っ赤だな」


いちいちうるさいなぁ。

私の実況したって何の得にもならないのに、わざわざしないで。


「でもさ...可愛いじゃん」


出た。

女たらし発言。

証拠は十分。

碧海くんは確信犯だ。

男といえば海里くらいしかまともに話したことがなくて、男の子に免疫が無さそうだからって私に近づいて来たんだ。

寒気がしてきた。

本気で早くここから出たい。


「あのさ、いつまでその調子?」


いやいや、あなたが私を狂わせたんでしょう?

この人、何言ってるの?


「ま、いっか。取り敢えず、今日はライン引きやるからそれ持って。今日は50と100と1000を1本ずつだってさ」


そして、何もなかったかのように平然としている。

信じられない。


「もしもーし、桑嶋さーん」

「分かってるよ...」

「なんだ、聞こえてんじゃん」


面倒くさい。

こういう、フレンドリーでどの瞬間も皆の真ん中でヘラヘラ笑っているような人、私はかなり苦手。

それに、走るのも面倒くさい。

私は胸に押し上げてくるイライラを何にぶつけようか考えながら歩いた。


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