二人の距離～やさしい愛にふれて～
「行っておいでって言ってくれとるみたいよ。あと、叔父さんやったかね？その方も。」

「…確か、まこちゃん？」

「そうそう、昨日恭吾くんがお父さんたちと話よった。まこちゃんがお父さんみたいだって。」

「そうなん…。はぁ…。」

理花は淋しさを吐き出す様に大きなため息をつく。
淋しそうな姿を見て恵子は恐る恐る理花の横に行くとゆっくりと横から抱きしめる。
一瞬体を強ばらせた理花だったが久しぶりに感じる母親の体温にすがるようにしがみつくと声を上げて泣き出した。

「ごめんなさい、マ、ッマ、ごめんなさい…うっ、こんな、こんな…」

「理花は何も悪くなんかないよ。助けられなくてごめんね、お母さん何もしてあげられなくて…悔しい…。」

恵子もぎゅっと力強く理花を抱きしめて声を殺して一緒に泣いた。

「恭ちゃんにね、自分の気持ちをぶつけてみたらって言われたんよ。」

しばらくして泣き止んだ理花はボソボソ話始める。

「大学に行かせてもらって、危ないからっていいマンションに住ませてもらって…立派な弁護士になるのが恩返しだってわかってるんよ…」

恵子は何と返事をするのが正解かわからず、頷きながら理花の背中を撫で続ける。

「あん、っな事…されて、先輩に浮かれて遊びになんか行ったから…でも、でも、勉強しようと思ったんよ。勉強に集中してれば忘れられるって…」

理花は話しながら徐々に声が大きくなり、呼吸が速くなっていく。恵子の背中に回した腕の力も強くなった。
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