二人の距離~やさしい愛にふれて~
「本当にそんな酷いことができる人間が存在するなんて…僕も初めて聞いたときは心が痛かったです。その言葉に縛られたように自分を汚し始めたんでしょうね。自傷行為として…」

「あの子を助ける方法はないんでしょうか?何でもします、だから、あの子を助けて下さい。」

恵子は泣きなから必死で草野に頭を下げる。

「長谷川さん、頭を上げて下さい、一緒に彼女が立ち直れるよう支えてあげましょう。時間はかかるでしょうけどきっと理花さんは乗り越えてくれますよ。ただ、ひとりで抱え込みすぎてお母さんが倒れでもしたら理花さんはまた自分を責めるでしょうからみんなで一緒に支えていきましょう。」

「私にできることは何でしょうか?」

「まずは変わらず理花さんが大切で、愛していることを知ってもらいましょう、芹沢くんに話したらしいんですが理花さんはご家族に罪悪感を感じているみたいなんです。話をしないのもそのせいみたいです。」

「そんなっ…さっきも…そんなこと思わなくていいのに…」

意気消沈した恵子を見て草野は念のため、安定剤を処方した。支える家族が参ってしまい、うつ状態に陥ってしまうケースも多いのだ。

その日は面会時間のほとんどをうつらうつらとした状態で過ごした理花は恭吾と過ごしている夢を見ていた。 
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