二人の距離~やさしい愛にふれて~
「やりたいようにやってみろって言うじゃないか?だめならその時に考えればいいって。嬉しいことも悔しいことも楽しいことも全部丸ごと共感してたんだろうな。」

昌はまた遠い目をして大吾のことを思い出しているようだった。
そんな昌の頭を由実は引き寄せて抱きしめる。

「よしよし、昌まで泣いてたら大吾くん号泣しちゃうよ。」

「ははっ、心配しすぎて戻ってくりゃいいのに。はぁ、会いてぇよ。」

昌は酔っているのもあり、由実にもたれかかったままだった。
いつもかっこいい存在の昌の弱った姿を見るのは初めてだった恭吾は驚いていた。

「会いたいなぁ。…本当に、ね…。」

茉莉はテーブルの上で手を握りしめ微かに肩をふるわせて呟いた。
そんな母親の姿に堪らなくなり恭吾の目にも涙が浮かぶ。それを隠すように茉莉の肩に抱きつくように顔を隠した。

「母さん、今までごめん…俺、もっと知らんぷりせずにオヤジに近づいてみるよ。会えないけど、知ることはできるし…。」

「うん、パパ喜ぶよ。」

「でも、まこちゃんのことも父さんと思ってていい?」

「そうだね。真さんも喜ぶよ。でね、あの家を引っ越そうかと思ってるの。まだ先だけど、昌くんに家を建ててもらおうって言ってて。」

「そうか、決めたんだな。あの家出たって大吾はいつも茉莉ちゃんの近くにきっと着いて回ってるよ。また改めて真さんも含めて話そう。実は大吾がいつか家を建てるって設計してた図面も残ってるんだ。」

「あっ、あぁ…ありっ、ありがとう。」

茉莉は我慢できず嗚咽が漏れるほど泣き始めた。
< 122 / 226 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop