二人の距離~やさしい愛にふれて~
「わかりました。」

恭吾はもしそういうことになったらと不安で手に汗が浮かぶ。

「でも見た限り大丈夫そうだよ。今までも芹沢君といて暴れて大変だったことなんてないだろう?」

「…たぶん。初めて会ったときにパニックみたいになったことはあるんですけど抱きしめてたら落ち着いたし、泣くことはあっても暴れることはなかった、です。」

「うん、大丈夫そうだ。これで理花さん自身に自信がつけば遠出も許可できると思うし。少しずつ時間や距離を伸ばしていけたらって思ってるんだ。よろしくね。」

「うぅっ…はい。なんか責任重大な気がしてきた…。」

「クックっクッ、緊張すると理花さんにも移るからリラックスしてね。そうだ、できれば公園とかでも人目があるところにいてね。応援が呼べないところだと困るから。」

「わかりました。まぁ、起こってもないことを気にしても仕方ないし、楽しんできます。」

自分に言い聞かせるように言うと恭吾は立ち上がった。

「そろそろおしゃれも出来上がったころかな?」

草野も楽しそうに立ち上がると二人で理花の病室へ向かう。
病室のドアをノックすると中から恵子が顔を出す。

「待ってたのよ。もう準備はできてるけん、さぁ。」

促されて二人で病室に入るとさわやかなミントグリーンのタイトなワンピースを着て、伸びきった髪はハーフアップにしており花のモチーフが付けられていた。
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