二人の距離~やさしい愛にふれて~
公園の真ん中には大きなひょうたん型の池があり、左右に噴水が設置され交互に水が噴き出している。
池を囲むように遊歩道があり、そこをランニングしている人や犬を散歩させている人などがいる。

「理花、まだお腹すいてないよな?とりあえず1周歩こう。結構いい運動だな。」

入り口付近に『0Km/1.2Km』という表示がしてある。
きっと池一周すると1.2Kmあるのだろう。

「歩くのもすごい久しぶり。」

「疲れたらベンチあるし座って休めばいい。ちゃんと言えよ。」

「恭ちゃんは優しいね。初めから恭ちゃんに会えてたら私の人生違ってたのかな?」

「う~ん、わかんねえけど、とりあえず今言えるのは会えて良かったし、今の理花が好きだってことくらいかな。」

「恭ちゃんは人生を無駄にしてるね。私なんかよりも普通の、きれいな人と一緒にいればいいのに。」

「理花もすげぇきれいだよ。初めて会ったときは魔女みたいだったけど、化粧落としたときから可愛いって思ってた。」

恭吾は少しでも理花の心の隙間が埋まればと、自分の思っていることを素直に伝える。
きっと九州にくる前のことは話さない方が思い出さなくていいはずだが、二人の思い出の多くは理花が暴行される前であってそこを変に避けると理花に思いは伝わらないと思ったのだ。

「ふふっ、私ね、今でも覚えてる。初めて会った時の恭ちゃんの顔。すごい変なもの見る目で見てた。」

「あ、あぁ、まぁ、実際すごかったからな。だからこそ化粧落としたときのギャップは衝撃だった、か、な。」
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