二人の距離~やさしい愛にふれて~
その言葉を聞いて恭吾は胸が熱くなり、理花の手を引くと力強く抱きしめた。

「頑張ってるんだな。お前は、理花はすごいよ。前みたいにずっと一緒にいれればいいのにな。」

「へへっ、ありがとう。ずっと一緒にいたら幸せなんだろうね。でも…私は恭ちゃんを幸せにできないからなぁ。」

理花も恭吾をしっかり抱きしめるとやっと聞こえる程の声で呟く。

「さっきも言ったけどさ、理花と別れるとすぐ会いたくなるんだ。理花の笑顔が見れると暖かい気持ちになるし、だから、その…理花のこと、す、好き、だと思う。」

恭吾は自分から告白した経験がなく、照れて言葉に詰まりながらも気持ちを伝えた。

「ふふっ、恭ちゃんから好きって言われちゃった。嬉しい。私も。ありがとう、この瞬間、この幸せな思い出があれば私の人生すてたものじゃないって思える。」

「じゃあ、もっと沢山思い出を作ろう。そしてさ、いつか二人で振り返って幸せだなって話そう。」

理花は恭吾の腕の中で肩を震わせ、声を殺して泣いていた。

「ははっ、理花は泣き虫だな。可愛い。自分の気持ちを自覚していつ理花に伝えようか迷ってたんだ。言えて良かった。」

少しすると理花は胸から顔を上げ、恭吾の
頬にキスをした。
びっくりして理花を見下ろした恭吾はゆっくり顔を近づけ、短いキスをする。
お互い鼓動が速くなっており、今感じている振動がどちらのものかわからない程だった。

「さぁ、行こう。」

恭吾はまた理花の手を引くと歩きはじめる。
しばらく緑に囲まれた遊歩道を歩いていると目の前に大きな湖のような水たまりが現れた。

「へぇ、噴水っていうから公園の真ん中に噴水があるだけだと思ってた。」

「そっか、たしか緑の池公園だったかな?」
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