二人の距離~やさしい愛にふれて~
挨拶
面会時間が終わるころ、病院に陽斗が車で迎えに来た。

「今日は外出したんやろ?どうやった?」

車に乗り込むと陽斗は嬉しそうに聞いてくる。

「楽しかったっすよ。理花も少ないけどサラダとリゾット食べれましたし、さっきは夕飯の代わりに買ってきたケーキ食べてました。」

「おぉ!いいな。順調、順調。」

理花が少しずつ回復してることが陽斗もうれしくてたまらないのだ。

「理花が陽斗さんにもケーキ選んでますよ。お父さんとお母さんの分も。お土産っす。」

そう言いながら箱を持ち上げて見せる。
理花からのお土産がうれしかったのかほんの少し車のスピードが上がった。

家に着くと先に帰っていた恵子がごはんを用意して待っていた。

「今日はありがとうね。あんなに楽しそうな理花は久しぶりやったけんこっちまでうれしかったよ。」

「いらっしゃい。今日は出かけられたらしいね。」

誠一も先に帰ってきておりリビングから顔を出す。

「お邪魔します。写真も撮ってきましたよ。」

「あぁ、二人の写真はさっきお母さんから見せてもらったんよ。本当に、恭吾くんには感謝しかないよ。」

そう言いながらみんなでリビングに入ると食卓を囲んだ。
恭吾はカフェや公園で撮った写真をみんなに見せる。真剣な顔で本を選んでいる理花の写真も撮っていた。

「あのっ、俺、正式に理花さんとお付き合いさせていただきます。自分に何ができるのか全く自信がないけど、頑張ります。」

急に改まって恭吾が言うと3人は一瞬驚いた顔になるが一斉に声を上げて笑い出す。
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