二人の距離~やさしい愛にふれて~
「まぁさ、わかんねーじゃん。嫌な奴とずっといねぇだろうし、そもそも鍵だって渡さねぇよ。」

由彰は自分のビールも開けぐいっと一口飲んだ。

「さすがまこちゃん、このビールうめぇ。」

顔を上げた恭吾は力なく笑うとビールをぐいぐいっと一気に半分ほど飲んだ。

「はぁぁ、俺なんかにどうこうできる問題じゃねぇのに何頑張ってたんだかなぁ…。」

自嘲ぎみに笑うと更にビールをぐいぐいと飲み干した。

「理花の部屋に倒れっぱなしの棚があるんだ。俺が起こそうとしたらかなり嫌がって…あいつが居ないときにこっそり起こしたらなんか難しそうな本が沢山あった。」

「へぇ、あいつって何者なんだろうな?難しそうな本を読む恋人がいたとか?そいつから振られたか死なれたか…それであんな風になったとか?」

「恋人か…それは考えたことなかったわ…でもあんな風になったきっかけがあるはずだよな…クローゼットの中に理花が着そうにない普通の可愛い服とかもあったな…基本、変なワンピースばっか着てたからな…」

恭吾は変なワンピースを着た理花を思い出し小さく笑った。

「警察がさ、俺の手を見てあんなに殴ったらこんなに綺麗な手をしてないって言ってたんだ…あいつどんだけ殴られたんだろーな…」

「あの時助けてやったのに、それは自業自得だろ、死んでなくて良かったよ。ニュースでは顔面と肋骨が数カ所骨折してたって言ってたよ。」
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