二人の距離~やさしい愛にふれて~
「辞めろって言ったのに…バカだよなぁ、あいつも…俺も…」

恭吾は堪らなくなり声を殺して泣いた。
由彰は何を言うわけでもなくただそばにいた。

それから二人は冷蔵庫にあるだけのビールを飲み干し、真のダブルサイズのベッドで並んで眠った。
子供の頃からずっと一緒だった二人は成人した今でもお互いの家に泊まる時はいつも当たり前のように一緒に寝ているのだ。

◇◇◇
「頭いてぇ…」

翌朝目を覚ました恭吾はズキズキと痛む頭に顔を歪めた。
横ではまだ由彰が寝息を立てており、起こさないようソロッとベッドから抜け出た。
リビングに行くと飲んだままにしておいた缶が片付けられており、味噌汁の良い匂いがしていた。

「おはよう。随分沢山飲んだのね。フフっ、真さん呆れてたわよ。」

茉莉がキッチンで朝食を作っていた。

「おはよ、あのビールかなりうまかったよ。まこちゃんあんなのばっかり飲んでんの?」

頭を押さえながら恭吾が言うから茉莉は眉間にシワを寄せてため息を吐いた。

「まずは薬が必要ね。痛み止め…胃薬もいる?」

「いや、痛み止めだけでいい。」

水と一緒に差し出された薬を飲みシャワーを浴びた。
リビングに戻るとすでにテーブルには朝食の準備がされてあった。

「ねぇ、そろそろ由彰くんも起こしてきて、今日は警察に行かないといけないでしょ?」

「あぁ、そうだった。面倒くせぇな、疑われてるなんて…」
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