二人の距離~やさしい愛にふれて~
『そんな事言って…俺が来なかったことないだろ?諦めて待ってろよ。淋しくないように猫も取って来ただろ?』

恭吾がそう言うと理花は嗚咽がもれるほど泣き崩れた。
その理花の背中をさすりながら草野はスマホを覗き込んだ。

「こんにちは、初めまして。理花さんの主治医の草野です。君が恭ちゃんか…実はお会いしたかったんです。君だと理花さんの反応もいいし、もしこちらに来られる際は私にもお時間いただけたら嬉しいのですが?」

『えっ?お、れ…ですか?出来ることがあればなんでも協力します。』

恭吾は嬉しそうに返事をした。
陽斗はスマホを自分に向ける。

「じゃあ俺は父さんと母さんに話をしてくるよ。できるだけ早く会いに来れるうように説得する。」

『はい。週末は予定入れずに空けておきます。』

「じゃあ、また連絡するよ。今日は急だったのにありがとう。」

『いえ、取れないときもありますけどいつでも電話してきて下さい。では。』

陽斗が電話をきろうとした時、泣いていた理花が慌ててその手を掴んだ。

「待って…お願い…」

必死の表情で陽斗を見上げる理花に陽斗はスマホを手渡す。

『理花?どうした?』

「あっ…恭ちゃんの顔…見たかったから…」

『ははっ、そうか。二人で写真撮っておくべきだったな…今度会ったら写真撮ろうな。』

「…うん。あのね、あのっ…ありがとう。」
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