二人の距離~やさしい愛にふれて~
その夜は深夜を過ぎても話し続け、明け方にようやく眠った。

設定しておいたアラームで恭吾は目が覚めた。
理花とは11時に約束をしている。理花の希望で恭吾が作ったコンビニのおにぎりで作ったお粥を食べさせる予定だった。
キッチンはないから事前に茉莉に相談して、レンジで調理するつもりだ。

陽斗とホテルを出た恭吾はまずコンビニに寄ってもらい、病院へ向かった。
昨夜よりも緊張はしていなかったが、ドキドキと胸の鼓動は速かった。

理花が入院している病棟へ上がると、草野が出迎えてくれる。

「いらっしゃい。昨日は眠れた?」

穏やかな笑顔の草野を見て恭吾は少し気持ちが落ち着く。
昨夜きちんと読んでサインした誓約書を草野に渡す。

「ありがとう。じゃあ行こうか、朝からソワソワして待ってるよ。」

そう言うと理花の病室に案内してくれた。
理花は一人部屋らしく、部屋の前の表札が理花の名前だけだった。

草野がノックをすると中から恵子の声で返事があった。
草野の後ろから部屋に入ると広めの部屋にベッドが一つと、ソファとテレビや冷蔵庫も置かれていた。

「久しぶり。」

恭吾は理花と目があうと片手を上げて言った。
理花の目にはみるみる涙がたまり、溢れ出した。

「恭ちゃん…恭ちゃん…ごめっ…」

そんな理花の横に行くと恭吾は頭をぐしゃぐしゃと撫でた。

「もう謝るなよ。いいって言ったろ?もう痛い所はない?」

恭吾が顔を覗き込むと、理花は恭吾に抱きついた。それからしばらく声をあげて泣いており、恭吾は以前のように優しく背中に手を回すと頭を撫で続けた。
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