冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
当時、菊永ホールディングスの取締役副社長を務めていた父は、妻を失った悲しみを埋めるように仕事に没頭していた。
それでなくても以前から忙しい人だったので、ほとんど屋敷へ戻らなくなっても仕方がないし、文句はない。
しかし時々帰宅して、『いつも宗鷹の面倒を見ていただきありがとうございます。宗鷹、お前には優しいお祖父様とお祖母様がいて、良かったな』と見当違いの挨拶をしていくのには、辟易せざるを得なかった。
休日返上で働いていた父は、時折仕事の合間をぬって俺を屋敷から連れ出した。
『洋服を買いに行こう』とか『玩具を買ってあげよう』などと百貨店へ連れ出されるが、結局は仕事の連絡が入って、俺だけが上得意客専用のサロンに置いていかれる。
そうして大人ばかりのサロンでひとり、外商担当者が父の言いつけで運んできた品の中から適当に選んで、無味乾燥な時間を潰す。
時には証券会社のVIP専用ラウンジに置いていかれ、父の帰りを待たせてもらう場面もあった。
今にして思えば、父は息子と親子水入らずの時間を一生懸命作ろうとしてくれていたのかもしれないが、当時まだ六歳だった自分にとっては、正直捨て置かれているだけのように感じていた。
それでなくても以前から忙しい人だったので、ほとんど屋敷へ戻らなくなっても仕方がないし、文句はない。
しかし時々帰宅して、『いつも宗鷹の面倒を見ていただきありがとうございます。宗鷹、お前には優しいお祖父様とお祖母様がいて、良かったな』と見当違いの挨拶をしていくのには、辟易せざるを得なかった。
休日返上で働いていた父は、時折仕事の合間をぬって俺を屋敷から連れ出した。
『洋服を買いに行こう』とか『玩具を買ってあげよう』などと百貨店へ連れ出されるが、結局は仕事の連絡が入って、俺だけが上得意客専用のサロンに置いていかれる。
そうして大人ばかりのサロンでひとり、外商担当者が父の言いつけで運んできた品の中から適当に選んで、無味乾燥な時間を潰す。
時には証券会社のVIP専用ラウンジに置いていかれ、父の帰りを待たせてもらう場面もあった。
今にして思えば、父は息子と親子水入らずの時間を一生懸命作ろうとしてくれていたのかもしれないが、当時まだ六歳だった自分にとっては、正直捨て置かれているだけのように感じていた。