冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
「ああ、駄目だ。こんなキスだけじゃ渇きがおさまらない。今すぐ君を抱きたくて仕方ないんだが」

大人の色気漂う極上の笑みを浮かべる彼の声音は低く、問いかけなのか、命令なのかわからない。
けれども、私も彼の愛をもっともっと知りたかった。

「……は、い。私も宗鷹さんが、欲しいです」

とろけたようにくたりとソファに倒れて動けないでいると、宗鷹さんは「君は初心過ぎて、煽るのが上手だから困る」と呆れたように言いながら、ひょいと私を抱き上げる。

「ど、どこに行くんですか? 部屋の間取りなら、もう完璧に覚えてますっ」

突然のお姫様抱っこに驚きながら、いつかのように寝室に運んでもらったことを思い出して抗議すると、彼は「知っている」と何でもないように答える。

「今夜は、君と一緒に風呂にでも入ろうと思って」

「へあ!?」

突拍子もない提案に、思わず変な声が出る。

「新婚夫婦の嗜みだろう」

「そうなんですか!?」
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