冷徹御曹司は初心な令嬢を政略結婚に堕とす
視線を感じて見下ろせば、澪は未知なるその刺激に可愛く怯えているではないか。
その姿があまりにも扇情的で、無意識にごくりと喉が鳴った。

彼女を抱き上げて寝室へ移動した際に、寒さや緊張のせいか固く尖った頂きが唐突に鼻梁を掠めていたせいで生まれた熱情が、無理やりしていた蓋を壊して、再び体を支配する。

気が付いた時には狼のように彼女を組み敷き、小さくやわらかな赤い唇に口づけを落としていた。

何度も、何度も角度を変えて甘い唇を重ね合わせるだけキスでも、初心過ぎる彼女は耳まで真っ赤にして音を上げてしまう。

……ああ、彼女が欲しい。欲しくて、欲しくて、たまらない。そうして、どうか俺の手をとってくれ。
ふつふつと募る渇愛が思考を焼き焦がし、欲情を掻き立ててていく。

そうしてついに理性の箍が外れそうになった、瞬間。
彼女が上げた拒絶の声が、それ以上は駄目だと俺を現実に引き戻した。
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