俺の大切なひと。
それくらい知ってるよ。一応、妖界で権力があるのは鬼の一族。警戒しなきゃいけないってこと知らないはずはない。
「それでも会いたかった、碧に伝えたいことあったから」
「えっ、伝えたいこと……」
「俺は、将来鬼神となる。そのために捨てなくてはいけないことがたくさんある。でも、どうしてもキミだけは捨てたくないし諦めることできない。」
俺は、ずっと居心地の良い空間から居座っていた。自分の立場から逃げてばかりだった。だけどもう、逃げるのはやめるんだ。
「鬼は悪さをするものじゃなく、人を救い、人と共存できる優しい心を持って生きていく……そんな妖界を作りたい。俺は優しいだけじゃない、誰かを守れる強い鬼神になる……そしたら、君を迎えに行きたい。」
「え……? それはどういうこと」
キョトンとしている碧に、今まで言えなかった気持ちを伝える。
「俺は、碧が好きだ。だから君を俺の花嫁として迎えたい」