俺の大切なひと。
「あのねっ柊! これ、プレゼント……私だと思って持っていて」
彼女は俺の顔を見ずに渡してきたそれは組紐だ。一昨年は髪を結うのにもらった……いつもそれを付けているんだけど。これはなんのプレゼント?
「……碧?」
「私、行くね……いらなかったら捨てて」
碧は俺の顔も見ないで走って行った。
「碧っ!」
彼女を呼んだけど、何も反応はなく……走って行ってしまった。俺は何かしてしまったんだろうか。
「……あの子の一族、俺らを消したいらしい」
「え?」
「もしかしたら、彼女……兄貴の為に会わないって決めたのでは?」
俺のため……に?
「……俺らは、あれをしていくんだろう? ならその前に、捕まえとけよ。それが兄貴の“原動力”だ」
「そのつもり、同時進行でやっていくよ」
「そう……わかったよ」
俺のための行動なら答えていかなきゃだ……俺も逃げ続けるわけにはいかない。覚悟を決めるときがきたんだ。